糖尿病性神経障害

 糖尿病性神経障害は糖尿病の合併症の内通常最も早期に出現し、また、最も頻度が高いものです。原因としては高血糖による神経細胞の代謝障害や血流障害があげられています。

体性神経障害:身体の知覚および運動神経の障害
 多くの場合左右対称性に出現し、しびれ感、痛み、知覚低下などの知覚障害を訴える患者さんが多いようです。中には一側の単一の神経のみが障害される場合もあります(この場合は運動障害が多い)。検査としてはアキレス腱などの腱反射の消失、振動覚の低下、神経伝導速度の低下などが認められます。
 
自律神経障害内臓の神経障害
 便通異常(便秘、下痢)、胃無力症(胃の動きが低下)、起立性低血圧(立ちくらみ)、神経因性膀胱(膀胱の収縮力低下)、インポテンス、無自覚性低血糖など。検査として、RR間隔(呼吸による心拍数の変化)や起立性血圧変化の測定、膀胱機能検査などがあります。
 
治療法
 血糖コントロールによる予防が第一。神経障害軽症例は血糖コントロールのみで軽快します。しかし、残念ながら進行した神経障害に確実に有効な治療法はありません。しびれ感や痛みに対してソルビトール生成酵素(アルドース還元酵素)の阻害薬やプロスタグランジン製剤などが使用されます。また、抗うつ薬、チアプリド、メキシチレンなども使用されることがあります。起立性低血圧、便秘、下痢、膀胱機能障害、インポテンスに対してはそれぞれ症状を和らげる薬物や治療法があります。
 
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